脳卒中
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慢性期脳梗塞患者の血行動態-頭蓋循環時間と血液ヘマトクリット, 脳血流量との関係
黒木 副武
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1989 年 11 巻 3 号 p. 223-229

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抄録

中大脳動脈系慢性期脳梗塞患者を対象として平均脳循環時間 (t, ta, tv) を1測定し, 血液粘度の指標であるHtと脳血流量 (rCBF), 平均血圧との関係を検討した.tは頭蓋平均循環時間でありrCBFと負相関を示し, 脳血流量減少によりtは延長し, 脳循環動態をあらわす1指標と考えられた.taは心血管系の影響が大きいパラメーターと考えられ, 平均血圧と相関を認めたが, 血液粘度の影響は少ないと考えられた.脳梗塞後の血液性状の変化は細血管系にて大きいと考えられており, tvは細動静脈, 静脈系の平均循環時間をあらわすことより, 血液粘度の変化を最もよく反映する因子と考えられ, 微小循環系の血流障害の程度を判定する指標となる可能性を示唆した.穿通枝系脳梗塞では, t, tvともHtと負相関を示し, 特にHtは血液粘度への影響は大きいと思われ, 梗塞領域による血液レオロジー変化の違いを考慮する必要がある.動注DSAによる循環時間測定は, 頭蓋内の脳循環動態及び血液レオロジー変化を反映することが示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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