脳卒中
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Subcortical arteriosclerotic encephalopathy (Binswanger型) のetiopathogenesisについて
桶田 理喜
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キーワード: Binswanger病, Binswanger脳症
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1989 年 11 巻 4 号 p. 309-315

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抄録

1894年Binswangerによって進行麻痺と鑑別すべき疾患の一つとして記載され, 今日はsubcortical arteriosclesotic encephalopathy (Binswanger型) と呼ぼれている病態 (ESCPと略記) の病因並びに病理発生機序について, 自験例を混じえて文献的考察を行った.
現在の所, この病態は高血圧性脳動脈病変 (粥状硬化症に加えて細動脈硬化症とlipohyalinosis, 動脈壊死が出現する) が, 脳の中では心臓から最も離れている大脳や小脳の髄質動脈にクモ膜下腔の動脈よりも高度に生じることによるものであり, その程度は脳梗塞や高血圧性脳出血のそれよりも顕著である点から, 高血圧に基づく脳疾患の特殊なタイプと考えられる.又, 脳動脈粥状硬化症とlacunaeを伴った高令者のESCPも, 初老期に発症するいわゆる “古典的” ESCPと病理学的に同じであると考えられる.大脳白質病変がESCPのそれと類似するが, 病因が異なる疾患についても述べた.

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