脳卒中
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脳塞栓症急性期における心内血栓の動態とその成長に及ぼす脱水の関与
矢坂 正弘山口 武典宮下 孟士澤田 徹朴 永大
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1989 年 11 巻 4 号 p. 388-395

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抄録

脳塞栓症急性期における心内血栓の動態と, それに及ぼす脱水の影響を明らかにする目的で, 急性期脳塞栓症連続30名を対象とし, 入院後, 経時的に断層心エコー図検査とヘマトクリット (Ht) 測定, さらに利尿薬使用の有無と水分出納のチェックを行なった.そして断層心エコー図上, 心内血栓出現ないし増大の観察された症例と, されなかった症例について, 断層心エコー図上の各指標, Ht値の推移並びに水分出納を比較検討した.
心内血栓は入院時4例, 入院後新たに4例, 計8例 (27%) に認められ, うち4例では経過中, 血栓の増大がみられた.これらのうち3例に塞栓症再発を認めた.心内血栓出現ないし増大は, 水分出納陰性例に多く観察され, 同時に下大静脈短径減少とHt値上昇が認められた.
以上から, (1) 脳塞栓症急性期の頻回な断層心エコー図検査により, 心内血栓のダイナミックな変化を観察できる. (2) 心内血栓成長に循環血漿量減少が関与すると考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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