脳卒中
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半側空間失認をともなった無名動脈閉塞症の1例
X線及びポジトロンCTによる検討
西山 公恵藤井 健一郎佐渡島 省三大星 博明藤島 正敏
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1989 年 11 巻 4 号 p. 422-427

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抄録

症例は糖尿病, 高血圧をもつ63歳の男で, 右上肢の反復性の阻血症状の後, 左不全麻痺を主訴として入院, 半側空間失認をともなっていた.脳血管撮影にて無名動脈閉塞及び右鎖骨下動脈盗血症候群を認めた.X線CTでは第20病日には右視床前方より内包後脚に小梗塞を認めたのみであったが, 第26, 79病日のポジトロンCT (PET) では右視床, 内包だけでなく同側の頭頂・後頭葉皮質を含む大脳半球全体で脳血流量や脳酸素代謝率の大きな低下が見られた.本症例の半側空間失認の発現にはX線CT出現後その責任病巣として強調されている視床病変ではなく, PETで示された右頭頂・後頭葉皮質自体の虚血がより関与していると考えられた.臨床症状の責任病巣の決定にはX線CTによる形態学的検索と同時にPETによる機能的検査が必要であろう.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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