脳卒中
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ラットcold injury モデルにおける漏出蛋白と浮腫液の動向
特にrouted protein migration 完成後の漏出蛋白と水の動きについて
大須賀 幸子大須賀 等灰田 宗孝篠原 幸人
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1989 年 11 巻 5 号 p. 469-475

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抄録

vasogenic edemaの進展及び消退様式を知るため, cold inluryモデルを用い, MR画像により水の動向を, 酵素抗体法により漏出蛋白の動向を, 時間経過を追い検討した.また, 乾燥重量法にて脳水分含量の測定も併せて行なった.既に報告した様に漏出蛋白は, 障害部より時間経過と共に白質線維に沿い対側半球まで拡がり (routed protein migration), その後障害に遠い部位より徐々に消失していった.電顕的には, 漏出した蛋白に含まれるhorseradishperoxidase reactive substanceが血管の基底膜, 脳室上衣細胞の細胞間隙に認められ, 漏出蛋白は血管内への逆輸送, 脳室への直接流入などにより消退する可能性が示唆された.MR画像に於ける水の動向は, 蛋白の動きとほぼ一致し, 蛋白と浮腫は平行して移動する事が判明した.脳水分含量の検討では, 障害側半球に於いて, 障害作製直後より水分含量の増加を認め, MR画像で得られた浮腫の存在が裏づけられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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