脳卒中
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Subclavian steal syndromeに対するPTAに際しての超音波ドップラー血流計による血流動態-1症例よりの検討
古田 義博中川 秀光中島 伸小林 智則小林 亨
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1990 年 12 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

Subclavian steal syndrome (以下SSS) の鎖骨下動脈近位部の狭窄に対するPTA (percutaneous transluminal angioplasty) は脳塞栓の危険は少ないとされている.我々は, SSSに対し頚部の経皮的超音波ドップラー検査でPTA中の血流動態に若干の所見が得られたので報告する.症例は62歳男性.上肢血圧の左右差とめまい発作を主訴として来院.超音波ドップラー検査で左椎骨動脈の逆流を認め, 大動脈造影は, 左鎖骨下動脈近位に高度な狭窄を示し, 初期椎骨動脈陰影欠損と後期での造影がみられSSSと診断し, これに対しPTAを施行した.まず6気圧2分間では逆行性であった左椎骨動脈は, 血流が確認できない無血流状態から徐々にto and fro型に移行し, 220秒後にはじめて不十分な順行性となったが再度逆行性へ移行した.次に8気圧, さらに10気圧と, 2分間施行したところ, 初回の6気圧にPTAの場合とは異なりPTA終了直後から順行性血流を認めた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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