脳卒中
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慢性期脳血管障害におけるリポ蛋白代謝異常
特にHDL-LCAT反応系について
飯塚 孝伴野 祥一村田 和彦清水 澄雄菅井 芳郎
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1990 年 12 巻 1 号 p. 7-10

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抄録

脳血管障害とリポ蛋白代謝異常の関係を検討する目的で, 発症後3ヵ月以上を経過しリハビリテーションの目的で入院中の脳梗塞103例, 脳出血88例と対照としての非脳血管障害43例について, 血清脂質, アポ蛋白, lecithin cholesterol acyltransferase (LCAT) 活性を比較検討した.血清総コレステロール, LDL-cholesterol (LDL-ch) は, 対照に比べ脳梗塞群で有意に高値 (p<0.001) を示したが, HDL-cholesterol, 中性脂肪は3群間に差はなかった.アポ蛋白Eは対照に比べ脳梗塞群に有意に高値 (p<0.05) であったが, A-I, A-II, B, C-II, C-IIIは3群間に差はなかった.また, 脳梗塞, 脳出血群ともに対照群に比し, ApoA-I/A-II, LDL-ch/Apo Bが有意に高く (p<0.05), アポリポ蛋白の粒子の大きさに差のあることも考えられた.LCAT活性は, 対照群に比べ, 脳梗塞, 脳出血群に高い傾向を示した.以上より, 脳血管障害例では慢性期においてもリポ蛋白代謝異常が認められた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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