脳卒中
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くも膜下出血患者における脳血流量の経時的変化
松田 昌之中澤 拓也斎藤 晃中洲 敏半田 譲二
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1990 年 12 巻 3 号 p. 207-213

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抄録

破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血 (SAH) 患者で社会復帰を果したoutcome良好であった症例のうち, 発症後2回以上133Xe吸入法による脳血流量 (CBF) 測定ができた50例において, CBFの経時的変化を検討した.術前grade良好例ではSAH発症後第1週よりCBFは有意に低下し, 第3~4週で回復した.一方, gradeの悪い例ではCBF低下は著明で長く持続し, 第4週でも有意に低下したままであった.症候性脳血管攣縮を伴った例ではCBF低下はより著明で長く続いた.さらに高齢者ほどSAHの影響は強く, CBF低下は著明で持続も長かった.50歳以上では3ヵ月ないし1年後のfollow-upにおいてもCBFの有意の増加はみられず, 有意に低下したままであった.高齢者では経過が良好であっても全身循環・脳循環に留意することが若年者以上に重要である.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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