脳卒中
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脳卒中患者の寒冷昇圧試験による脳血流量の検討
二瓶 忠精
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1990 年 12 巻 3 号 p. 242-250

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抄録

脳血栓46例, 脳出血33例および非脳卒中16例を対象にして, 脳卒中慢性期患者の脳血流量に及ぼす寒冷刺激の影響について検討した.局所脳血流量 (rCBF) は, 133Xe-内頚動脈内注入法により測定した.1) いずれの群においても, 寒冷昇圧試験 (CPT) により収縮期および拡張期血圧は上昇し, 脈拍数は増加した.2) 脳血栓ならびに脳出血ともに, 平均局所脳血流量 (m-rCBF) が30ml/100g/min未満の群では, CPTによりm-rCBFは増加し, autoregulation indexは脳血栓群で, 他の群に比して大であった.3) m-rCBFが40ml/100g/min以上の脳出血群では, m-rCBFはCPTにより減少したが, 脳血栓群では有意の変化はみられなかった.
以上より, 脳血流量の少ない脳卒中患者では, 脳血流量は寒冷刺激により増加しやすく, とくに脳血栓患者ではautoregulationに支障を来していると考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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