脳卒中
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多発性脳動脈瘤を合併したv.Winiwater-Buerger病の1症例
山下 耕助米川 泰弘河野 輝昭新島 京
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1990 年 12 巻 4 号 p. 351-356

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抄録

くも膜下出血及び脳内出血で発症し, 多発性脳動脈瘤を合併したthromboangiitis obliterans (TAO) の一女性例を報告した.一般に, TAO例で中枢神経症状を合併したいわゆるcerebral TAOは, 脳虚血症状を呈することが多く, 頭蓋内出血で発症することは極めて稀である.さらに, 脳動脈瘤を合併した報告は認められず, 本症例が最初の症例と考えられた.
本症例における両者の合併は, 単なる偶然の一致とも考えられるが, TAOの血管病変の病理学的検討から, 血管壁の重要な構築であるcollagenの構造異常, あるいはcollagen type 1及びtype 3に対する抗体価の異常高値が指摘されており, Ehlers-Danlos症候群 (IV) などのcollagen欠損症に合併する脳動脈瘤と同様の機序による合併とも考えられる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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