高血圧性視床出血例で上肢より下肢に強い麻痺 (下肢に強い片麻痺) を呈した症例について検討した.視床出血120例中117例に片麻痺を認め, そのうち下肢に強い片麻痺を呈した症例は12例であった.下肢に強い片麻痺を呈した12例の全例のCT像で血腫が視床より上方に伸展し, 傍側脳室放線冠の後半部に及ぶという共通した所見が認められた.このうち2例では上記の所見に加えて内包後脚後部へ血腫の伸展が認められたが, 残りの10例では血腫は視床より上方にのみ伸展していた.
すなわち視床より上方に伸展した血腫による傍側脳室放線冠の後半部の障害が下肢に強い片麻痺を出現させたことは, 下肢を支配する皮質脊髄路の線維群が同部位を走行することを示唆するものと考えられた.