慢性期穿通枝領域脳梗塞患者19名について脳萎縮とP300潜時との関連について, 検討を行った.脳萎縮度の評価は, CTスキャンによる断面積比計測法である脳室/脳断面積比 (Ventricular Area Index以下VAI), 脳実質/頭蓋内腔断面積比 (Brain Atrophy Index以下BAI) を用いた.側脳室体部, 基底核レベルともVAI, BAIは年齢と有意の相関を認めた.P300潜時はFz, Cz, Pzそれぞれ376.8±31.3msec, 376.8±29.2msec, 378.0±28.9msecであり, P300潜時は年齢と有意の正相関を示した.年齢の因子を除外するため, 重回帰分析を行ったところ, 脳萎縮度とP300潜時との間に有意な相関を得たのは, 側脳室体部レベルでは, VAIとFz, Pz部位のP300潜時, BAIとFz, Cz, Pz部位のP300潜時, また, 基底核レベルでは, BAIとFz, Pz部位のP300潜時であった.これらのことより, 穿通枝領域脳梗塞患者において, 脳萎縮とP300潜時の延長とが関連していることが示唆された.