脳卒中
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高血圧自然発症ラットの実験的脳虚血におよぼすCBM36-733の効果
佐渡島 省三岡田 靖八尾 博史井林 雪郎藤島 正敏
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1991 年 13 巻 4 号 p. 244-248

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抄録

新規麦角誘導体であるCBM36-733 (2-methyl-α-ergocryptine) の実験的脳虚血時における, 脳循環, 代謝に対する効果について検討した.高血圧自然発症ラットの両側総頚動脈を結紮して脳虚血を作製した.大脳皮質の血流は水素クリアランス法で, 虚血の1時間の脳組織中の乳酸, ATP, ピルビン酸濃度は酵素法で測定した.CBMは0.01, 0.1, 1.0mg/kgとして脳虚血作製直前に投与した.両側総頚動脈結紮により, 脳血流は前値の5~11%に低下したが, CBM投与による影響はみられなかった.一方乳酸値は, 対照群で27.5±2.6mmol/kgと正常値の12倍に上昇したのに対し, CBM0.1~1.0mg/kg投与により, 3~5倍の上昇におさえられ, ATPも対照群では1.30±0.05mmol/kgと正常の1/2に低下したのに対し, CBM投与によりほぼ正常に保たれた.乳酸/ピルビン酸値も同様の傾向を示していた.
CBM36-733は脳虚血時の代謝障害を, 脳血流を介さずに改善することが示された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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