脳卒中
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後大脳動脈領域の虚血性病変による健忘症候群
山名 知子伊藤 栄一池田 隆奥田 聡吉田 眞理
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1991 年 13 巻 4 号 p. 257-264

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抄録

国立療養所東名古屋病院及び国立名古屋病院において, 12年間にCT検査を施行した脳梗塞1,422例のうちCT上後大脳動脈領域に低吸収域のあったものは167例 (11.7%) であった.167例中男性は120例の71.8%, また脳塞栓症と診断できたものは39例の23.3%であった.後大脳動脈領域梗塞 (以下PCAIと略す) 患者のCT上での病変部位別, 左右別及び内側側頭葉病変 (以下MTLと略す) の有無別に分け, 神経心理学的に十分な評価がなし得ないと考えた44例を除いて, 総計123例について神経心理学的症候を検討した.両側, 左側, 右側病変ともMTLを伴うものに健忘症候群の頻度が高く, 特に左側病変で顕著であった.同名半盲は46例の37%にみられた.左及び両側視床前内側部病変でも健忘がみられた.両側及び左側のMTLを伴うものに純粋失読, 色彩失認が多くみられた.分水嶺領域の梗塞で健忘を生じたものではMTLを伴うものが多かった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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