CTによりクモ膜下出血の診断が確実になった1979年以降の長崎県における脳動脈瘤の発生状況について調査を行った.脳外科施設が総合病院にのみ開設されていた最初の3年間の発生頻度は対10万人, 8人であったが, 中規模病院及び脳神経外科専門病院の開設で10施設になった1990年度末には16.6人と増加した.この事は全県下をカノミーできるような脳神経外科施設の拡充の重要性を示している.また, 未破裂脳動脈瘤の発見される頻度が増加し, 1990年度には約10%を占めていた.しかし, その大多数が症候性のものであり, 無症候性未破裂の脳動脈瘤の発見される頻度は依然低く, CTや核磁気共鳴装置を用いた脳血管撮影により破裂前により多くの脳動脈瘤を発見する努力が要求されると思われる.