脳卒中
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冠状断画像による傍側脳室体部放線冠梗塞の臨床的検討
岩本 俊彦阿部 晋衛金谷 潔史久保 秀樹高崎 優
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1992 年 14 巻 2 号 p. 142-151

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抄録

傍側脳室体部放線冠梗塞の障害血管, 病態を知る目的で, 本梗塞17例のMRI冠状断像を臨床的に検討した.すなわち大脳脚を通る断面で島槽上端 (IC) と側脳室最外側上縁 (CC) を結ぶ線 (IC-CC線) より内包寄りの梗塞をPER群, 半卵円中心寄りのものをCOR群とすると, 各々11例, 6例あった.両群の多くは高血圧の男性で, 階段状発症, 起床時完成を示したが, COR群では完成までに時間を要した.症状は上肢に強い不全片麻痺で, 予後は概して良好であった.画像上PER群の梗塞巣 (CT) は境界明瞭で, 長径は15mm以下, 脳血管撮影 (AG) では硬化性変化を示した.一方COR群の梗塞巣 (CT) は淡く, 広く, AGで主幹動脈狭窄性変化を認めた.COR群で広範な集積低下を示したSPECT所見は, PER群で多彩だった.以上からPER群は穿通枝の巻き込まれたラクネ, COR群は主幹動脈病変による境界域梗塞が示唆され, 本梗塞の障害血管や病態の鑑別にMRI冠状断は有用と考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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