脳卒中
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透析患者における出血性脳血管障害の治療
五十棲 孝裕原 慶文松村 憲一松田 昌之半田 譲二
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1992 年 14 巻 3 号 p. 228-234

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抄録

透析患者が出血性脳血管障害を併発した場合には, 出血傾向を合併していることが多く, また, 透析により脳浮腫の増悪をきたしやすいため, 治療方法に苦慮することが多い.我々の施設では, 過去5年間に透析療法中の慢性腎不全患者10例に脳内出血およびくも膜下出血を経験した.
脳内出血例では, 血小板機能障害により巨大な血腫を形成する傾向があり, 全例が死亡した.救命率を向上させるには, 血腫の進展や再出血を防止することが重要であり, そのためには, できるだけ早期に透析を開始することが望ましく, また, DDAVPの投与や輸血などが腎不全状態での出血傾向に有効であるとの報告もあり, これらを用いることも必要である.また, 透析に際しては, 浸透圧不均衡勾配による脳浮腫の増悪を最小限に抑えるため, 緩徐かつ短時間の透析を, mannitolを併用しながら, 頻回に行うべきである.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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