1992 年 14 巻 4 号 p. 414-416
Computed tomographyで典型的な被殼出血の所見を呈した破裂中大脳動脈瘤の1例を報告した.症例は44歳の男性, 路上に倒れているところを発見され島根県立中央病院脳神経外科に搬入された.初診時の神経学的重症度はHunt & Hessで3, 左片麻痺と左半身の知覚障害があった.Computed tomographyで右の被殻に高吸収域を認めた.右内頚動脈撮影にて中大脳動脈瘤破裂と診断し, 入院当日に動脈瘤のクリッピングと血腫除去術を施行した.術後, 意識は清明となり左片麻痺に対しリハビリテーションを行った後独歩退院した.本症例は, くも膜下出血を伴わず被殼部の脳内血腫のみで発症した稀な脳動脈瘤破裂の症例と思われる.