脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
Hypoglycemic hemiplegiaの1例
鄭 秀明内山 真一郎柴垣 泰郎望月 温子丸山 勝一
著者情報
キーワード: 糖尿病, 低血糖, インスリン
ジャーナル フリー

1992 年 14 巻 5 号 p. 499-504

詳細
抄録

低血糖性片麻痺hypoglycemic hemiplegia (HH) の1例を報告した.症例は28歳女性.インスリン依存性糖尿病で13歳よりインスリン治療を受けていた.2度の一過性の左半身の脱力発作があり入院した.頭部CT, MRIおよび脳血管撮影で異常を認めず, 入院後同様の左片麻痺発作があり, その際の血糖値が54mg/dlで, 糖質の摂取により改善傾向がみられたことから低血糖性片麻痺と診断した.入院時 (HbA1c6.3%) のSPECTでは右基底核~内包の血流が低下していたが, 血糖を高値に保った4ヵ月後 (HbA1c7.7%) は同部の血流低下は改善しており, 以後片麻痺発作を生じなかった.HHは比較的まれといわれているが, 脳血管障害と誤認されている可能性があり, 糖尿病症例においては本症も念頭におく必要があると考えられた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top