脳卒中
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後大脳動脈の血栓化脳動脈瘤の1例
MR Angiographyの経時的変化
高松 和弘滝沢 貴昭宮本 勉佐藤 昇樹村上 裕二
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1992 年 14 巻 5 号 p. 511-517

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抄録

われわれは後大脳動脈の血栓化脳動脈瘤の1例についてMR Angiography (MRA) の経時的変化を報告した.1990年10月4日58歳の男性が回転性めまい, 頭痛を主訴に入院した.頭部単純CTで右迂回槽に淡い高吸収域を示す円形病巣を認めた.頭部MRIのT1強調像ではほとんどの部分が等信号強度を示し, 一部が高信号域を示す円形病巣を認めた.T2強調像では同じ部位に低信号域を示す円形病巣を認め, T1強調像の高信号域とほぼ一致して一部に高信号域を認めた.GD-DTPAによる造影MRIでは部分的に淡い造影効果を認めた.血管撮影では右後大脳動脈は後外側脈絡叢動脈を分岐した直後で閉塞していた.rephase MRAでは血管撮影の閉塞部位に一致して円形病巣が血管に接して描出されたがsubtraction MRAでは描出されなかった.以上の所見から頭部単純CTの淡い高吸収域を示す円形病巣は, 右後大脳動脈と後外側脈絡叢動脈分岐部の血栓化した動脈瘤と診断された.2ヵ月後のrephase MRAでは血栓化した脳動脈瘤の描出が不鮮明となり, 約4ヵ月後のrephase MRAでは血栓化した脳動脈瘤は描出されなくなった.本症例の血栓化脳動脈瘤のrephase MRA所見の経時的変化はmethemoglobinがhemosiderinに変化するに伴い描出が不明瞭になっていると考えられた.また, rephase MRAでは血栓と動脈瘤の鑑別がむずかしいが, subtraction MRAを用いると血栓と動脈瘤の鑑別が可能となる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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