脳卒中
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脳浮腫における血漿ANP (Na利尿ペプチド) 動態について
島田 恵小松本 悟奈良 昌治後藤 文男
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1993 年 15 巻 5 号 p. 340-345

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抄録

出血性脳血管障害によって引き起こされる脳浮腫に関連して血漿ANP動態を検討した.脳出血14例を対象とし, 脳浮腫群 (N=7) と非脳浮腫群 (N=7) の2群で検討した.脳浮腫群の血漿ANP値は, 第1病日に123.8±28.4pg/mlと高値を示し, 以後漸減, 111.4±23.0 (第3病日), 101±21.6 (第5病日), 106.3±25.7 (第7病日) を示した.更に第14病日には77.2±17.6pg/mlへと有意に低下した (第1, 3, 5病日に比較しp<0.05).一方, 非脳浮腫群では全経過を通じて血漿ANP値は有意な変動を示さなかった.以上の結果より, 出血性脳血管障害の急性期に脳浮腫により頭蓋内圧亢進を来たした場合, ANPの分泌が促進されると考えられ, ANPが頭蓋内圧の変化に対して何らかの重要な役割を果たしている可能性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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