脳卒中
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両側視床内側部梗塞の3例
山川 弘保郭 泰彦安藤 隆坂井 昇山田 弘
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1994 年 16 巻 2 号 p. 137-145

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抄録

両側視床内側部梗塞の3例を経験し, このうち2例は中脳梗塞を合併していた.全例で発症直後から著明な意識レベルの低下を呈したが, 数日の経過で回復した.その後嗜眠傾向, 活動性の低下, recent memory disturbanceが残存し, 中脳梗塞を合併した症例では両眼の上下転もしくは上転障害を認めた.3症例における梗塞発症の原因として, 頸部の回転に伴う環椎近傍での椎骨動脈の閉塞, 脳底動脈のdissectionによる塞栓形成, 糖尿病に起因する穿通枝の血栓性閉塞が推察された.両側視床内側部梗塞の場合, 比較的生命予後は良いものの精神障害が持続するため日常生活での制限が多い.視床内側部の血管支配と臨床的特徴について文献的考察を加え報告した.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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