脳卒中
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閉塞性脳血管障害症例の脳循環予備能よりみた脳血管造影の適応について
吉永 真也田中 彰木村 雅人朝長 正道
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1994 年 16 巻 2 号 p. 95-101

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抄録

閉塞性脳血管障害症例について, 安静時及びAcetazolamide負荷後の脳血流量と脳血管造影における脳主幹動脈閉塞ないし高度狭窄との関係をretrospectiveに検討し, 脳血管造影の適応について脳循環動態の面から検討した.対象はminor stroke, RIND, TIAにて発症した慢性期閉塞性脳血管障害患者20例で, 脳主幹動脈閉塞群13例と非閉塞群7例に分けXe-CTscanを利用し, 脳血流量を測定した.負荷後の脳血流量の増加は非閉塞群の半球で37.7±11.2%, 中大脳動脈領域で34.0±23.1%で両者とも統計学的に有意であった.一方閉塞群では, 患側半球で16.0±18.8%, 健側半球で23.8±13.5%, 中大脳動脈領域の患側で10.0±21.7%, 健側でも, 18.6±10.9%にとどまった.特に患側中大脳動脈領域では30%以上は1例であった.以上よりAcetazolamide負荷による中大脳動脈領域の脳血流量の増加率が30%以下の症例は, 主幹動脈閉塞が疑われ脳血管造影を行うべきである.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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