脳卒中
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脳血管障害における血漿・髄液エンドセリン-1動態について
小松本 悟奈良 昌治
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1995 年 17 巻 3 号 p. 271-277

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抄録

脳血管障害急性期の血漿・髄液Endothelin-1 (以下ET-1) 動態及びその経時的変化を検討し, 以下の成績を得た。 (a) 脳梗塞・脳出血を含む脳血管障害急性期においてET-1が高値を示し, 以後漸減することを示した. (b) 発症第1病日の髄液ET-1は正常健康者の髄液ET-1に比較し, 有意に高値であった. (c) 発症第1病日の髄液ET-1は14病日には減少した. (d) 髄液ET-1は血漿ET-1に比較し有意に高かった.今回の我々の研究では脳血管障害の急性期に血漿ならびに髄液ET-1が有意に増加することが明らかとなった.
動脈硬化などの血管内腔側の形態学的変化による局所血流の変化, ずり応力の変化などによりET-1産生が惹起された可能性がある.さらに加齢にともなう血管内皮障害部ではプロスタサイクリンなどの血管拡張物質の産生が低下しており, 血管拡張物質によるET-1産生抑制が減弱するため, 結果として脳血管障害急性期にみられる種々の変化に対してET-1産生が亢進した可能性も考えられる.
以上のデータより, 脳血管障害急性期の血漿, 髄液ET-1動態は脳血管収縮作用を介して, 脳血管障害に起因する病態に関与することが示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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