脳卒中
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脳虚血における脳内Ca2+誘発性Ca2+放出チャンネルの変化
砂ネズミ一側総頸動脈結紮6時間モデルを用いて
野崎 博之田中 耕太郎白井 俊孝永田 栄一郎福内 靖男
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1995 年 17 巻 3 号 p. 306-314

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抄録

砂ネズミ一側総頸動脈結紮モデルにおいて局所脳血流量 (LCBF) および脳組織ryanodine受容体結合能を測定し, 脳虚血時のryanodine受容体の変化について検討した.動物は虚血群とsham手術群に分けた.結紮6時間後 [14C] iodoantipyrine法によりLCBFを測定し, さらに [3H] ryanodineを用いてin vitroオートラジオグラフ法によりryanodine受容体結合能を測定した.LCBFは虚血群結紮側で小脳を除いたすべての領域でsham手術群に比し有意な低下を示した (p<0.01).一方ryanodine特異的結合量は虚血群結紮側の海馬CA1においてのみsham手術群に比較して有意な低下 (p<0.05) を示した.以上の事実はryanodine受容体を介する細胞内Ca2+率放出機構 (Ca22+induced Ca2+elease : CICR) の変動が海馬CA1の虚血に対する選択的脆弱性に密接に関与している可能性を示唆しているものと考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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