脳卒中
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破裂脳動脈瘤患者の治療
-進歩と問題点-
松本 祐蔵守山 英二目黒 俊成萬代 眞哉桜井 勝
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1995 年 17 巻 5 号 p. 439-445

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抄録

香川県立中央病院に脳神経外科が開設された1972年7月以来, 1994年6月までの22年間に治療した615人の70歳未満のクモ膜下出血患者の治療成績を分析した.これらの患者を治療方針の変化に伴い, 時期別に4群に分けて検討した.この期間中の治療方針の最大の変化は, 待機手術から早期手術への移行であり, 平均手術時期はHunt and Kosnik gradeI-II患者で, Day 17.5からDay 1.5 (発症日 : Day0), gradeIII患者では, Day11.5からDay0.8と発症から手術までの時間が有意に短縮していた.これに伴いgrade III患者では手術施行率が, 71%から97.5%と増加し, 最終的な転帰も有意に改善していた.Grade I-II患者では手術施行率は待機手術が主流であった時代と変化がないものの, やはり転帰の改善が見られた.従来は手術の対象となることが少なかったgrade IVについても, 積極的な早期手術によって転帰の改善が認められた.現在の治療上の最大の問題点は, 急性期手術準備中の再出血であり, これらの患者の転帰は有意に不良であった.種々の脳血管攣縮対策により, 重篤な脳血管攣縮の発生は減少しており, 現在では死亡原因としてではなく神経脱落症状の原因として重要であった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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