脳卒中
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脳虚血後再灌流時 induced hypertensionによる脳血流, 脳内エネルギー代謝, 脳比重の変化
細見 直永津田 能康市原 新一郎北代 雅也松尾 裕英
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1995 年 17 巻 5 号 p. 446-456

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抄録

脳虚血後再灌流時のinduced hypertension負荷の持続時間とその昇圧程度による脳血流, 脳内エネルギー代謝, 脳比重に及ぼす効果の違いを検討した.脳血流はレーザードプラ血流計, 脳内エネルギー代謝は31P-NMRスペクトロスコピー, 脳比重は比重柱法により測定した.雄成熟砂ネズミ計84匹を用いて, 15, 30, 60分間のinduced hypertension (mild) 負荷 (25mmHg), 15分間のinduced hypertension (severe) 負荷 (45mmHg), 15分間のinducedhypotension (mild) 負荷 (30mmHg) の5群, およびcontrol群各14匹において検討を行った.脳虚血後再灌流時のmildな15分間の昇圧 (24mmHg) は脳浮腫および脳内エネルギー代謝 (PCr/Pi比, β-ATP/Pi比) を改善し, severeな昇圧 (46mmHg) および長時間 (30, 60分間) の昇圧は脳内エネルギー代謝の回復を遅延し, 脳浮腫を増大させた.以上の結果, induced hypertensionによる脳内エネルギー代謝の改善の程度, あるいは脳浮腫の増悪の程度はinduced hypertensionの持続時間と昇圧程度に規定されるものであることが考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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