脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
発症機序からみたクレセンドTIAの臨床的特徴についての検討
塩川 宰平橋 高明石束 隆男
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 18 巻 2 号 p. 104-109

詳細
抄録

クレセンド (以下, クレ) TIAの臨床像の特徴をTIA発症機序との関係に於いて検討した.脳血管写をうけたTIA48例を, 最も推定される発症機序別に穿通枝病変群 (穿通群, 17例, 35%), 微小塞栓群 (微塞群, 15例, 31%), 脳血管不全群 (5例, 10%), 心原性塞栓群 (5例, 10%), および不明群 (6例, 13%) に分類した.クレ例は48例中7例 (14%) であり, 内訳は穿通群6例, 微塞群1例と穿通群に集中していた.穿通群のクレ例と非クレ例の臨床像には差はないが, 脳梗塞発症率 (%/人月) は非クレ例の0.6に対し, クレ例は1.6とクレ例での発症が多かった.また, クレ例からの脳梗塞発症は, すべて初回TIA発作後3日以内のことであった.一方, 微塞群のクレ例での脳梗塞発症はなかった.今回, 本邦でのクレTIAは稀であり, その発症は高血圧を基礎とする穿通枝病変 (lipohyalinosisなど) を機序とする例に多く, 穿通群のクレ例では早期に脳梗塞に移行し易いことが示唆された.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top