脳卒中
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緩徐進行の麻痺を呈する脳梗塞
米原 敏郎橋本 洋一郎平野 照之寺崎 修司内野 誠
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1996 年 18 巻 2 号 p. 143-148

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抄録

一側上肢の麻痺やしびれが長期にわたって緩徐に進行した脳梗塞の2例を報告した.症例1は2カ月半にわたって左上肢の感覚障害と麻痺が進行し, 顔面や下肢の麻痺も出現, 右中心前回と中心後回の皮質梗塞, 右Rolandic arteryの造影遅延を認めた.症例2は右手の麻痺が3週間にわたって進行し, 左中心前回と前後の分水嶺の梗塞, 左中大脳動脈M2閉塞を認め, Rolandic arteryへの副血行は不良であった.2例とも初期に適切な診断がなされず治療が遅れたこと, 中大脳動脈分枝病変の存在, 副血行が不良なことが進行型脳梗塞の要因と考えられた.脳腫瘍のような進行を示す中大脳動脈分枝領域の脳梗塞で極めて稀な症例と考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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