脳卒中
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脳血栓症における血中thrombomodulin値の変動について
小松本 悟奈良 昌治
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1996 年 18 巻 2 号 p. 98-103

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抄録

血中thrornbornodulin (TM) は血管内皮細胞障害の過程に, 内皮より逸脱した血中微量蛋白質である.本研究では, コントロール群としての健常者 (55例, 平均年齢55.4±16.4歳) と脳血栓症後遺症患者 (59例, 平均年齢61.7±11.7歳) において血中TM値を測定し, 血中TM値がコントロール群および脳血栓症の2群において, 血管内皮細胞障害の1つの指標になるか否かについて検討した.
コントロール群における血中TM値 (Y) は年齢 (X) と正の相関を示した (Y=0.190X+8.299, r=0.718, p<0.01).脳血栓症群における血中TM値は26.18±12.00U/mlを示し, コントロール群のTM値 (18.79±4.43U/ml) に比較し, 有意に高値であった (p<0.05).脳血栓症群において, 糖尿病を有する群の血中TM値は34.85±21.03U/mlを示し, 糖尿病を有さない群 (23.73±6.31U/ml) に比し, 高い傾向を示した.
以上の事実より, 血中TMはコントロール群および脳血栓症における血管内皮細胞障害の1つの指標になり得る可能性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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