脳卒中
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脳内細動脈外膜肥厚の部位的検討
白質と基底核, 視床での差異
渡辺 正樹橋詰 良夫吉田 洋二
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1996 年 18 巻 3 号 p. 170-175

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抄録

大脳白質の虚血病変は基底核, 視床に比して無症候性のものが高頻度で, 脳卒中発症前に発見されることが多く, その臨床的意義が重要視されつつある.そこで大脳白質と基底核, 視床の細動脈硬化の比較, 相関を111剖検例について病理学的に検討した.各部位で共通にみられる細動脈硬化は外膜の線維性肥厚であり, 大脳白質が最も著明で加齢とともに進行した.大脳基底核や視床の穿通枝脳梗塞例では, 正常例に比してこれらの部位ばかりでなく, それ以上に大脳白質の細動脈外膜肥厚も進行していた.また正常例や穿通枝脳梗塞例では大脳白質での細動脈外膜肥厚は大脳基底核のそれと相関していた.脳内細動脈外膜肥厚は虚血状態を意味し, 大脳白質のそれは他の部位に先行して出現することより, ある程度他の部位の症候性病変の予知につながると考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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