脳卒中
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くも膜下出血の群発について気圧変動との関係
水野 正彦
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1996 年 18 巻 3 号 p. 176-183

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抄録

くも膜下出血の患者が連続して搬入されることは多くの脳外科医たちが経験している.この臨床的印象を確かめるため, 昭和伊南総合病院在任中 (1972~1991) に扱った患者のうち脳動脈瘤の破裂と出血源不明な症例で, さらに発症日が明らかな632人について一人の患者が発生してから次の患者が発生するまでの間隔を調べたところ, 同日発症 (Day0) 31例, 翌日発症 (Day1) 163例などDay6までに検討例の55.1%が発症していた.これは平均発症11日に1例とは明らかな差が認められ, 経験が数字的に裏付けられた.個々の発症状況をみると, 前後に長期間の空白がある孤発型と同日ないしは数日のうちに複数の患者がばたばたと続いて発症する群発型とが明らかであったので, それぞれについて気圧変動との関係について検討した.今回は気圧の日内変動のデータを全期間にわたって得ることが出来なかったので, 一日の平均気圧を取り上げた.
得られた結果は以下の通りであった.
1.くも膜下出血は群発する傾向にあった.
2.発症当日の気圧の絶対値は関連性がなかった.
3.発症前の気圧変動の絶対値も関連しなかった.
4.発症前の気圧変動のパターンにも特徴的な変化を証明できなかった.
すなわち, 今回の検討では, くも膜下出血と気圧変動の間には一定の関係が得られなかった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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