18 巻 (1996) 4 号 p. 338-342
通常のリスクファクターを伴わず, 虚血性脳血管障害で発症した先天性proteinC (PC) 欠乏症2例を, 文献的考察を加え報告した.症例はRIND (reversible ischemic neurologicdeficits) で発症した34歳男性とラクナ梗塞を呈した62歳女性.凝固検査 (lupus anticoagulant, antithrombin III, protein C, protein S) を施行し, ともにPC抗原, 活性値が低値を示し, 家族の検索より, 先天性PC欠乏症と診断した.2例ともヘパリンの持続点滴下にワーファリンを漸増し, トロンボテスト20%でヘパリンのみ中止, 脳血管障害の再発なく経過している.主要なリスクファクターのない脳血管障害については, 症例2のように比較的高齢であっても, 再発の予防のために, 内因性凝固因子の検索を行う必要があると考えられる.また症例1のようにTIAやRINDといった時期にPC欠乏症を見出せば, 以後の脳梗塞の発症を予防できる可能性がある.