脳卒中
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症候性脳血管攣縮症例における血液凝固線溶動態の変化
吉田 憲司中村 三郎
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1996 年 18 巻 5 号 p. 375-381

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抄録

症候性脳血管攣縮 (SCV) の合併を認めた破裂脳動脈瘤11症例において, 内頸静脈中の凝固線溶系の変化を検討した.凝固・線溶・血小板分子マーカーとしてそれぞれthrombinantithrobin complex (TAT), D-dimer, thromboxane B2 (TXB2) とした.またトロンビンの活性化に関与する組織因子, TXB2に関連するPGI2について, 各分子マーカーと共に各症例の経過中にSCVを認めた時点で測定した.全症例において各分子マーカーの増加と組織因子の増加が認められた.TXA2の合成阻害剤であるオザグレルナトリウム投与例ではTXB2値はほぼ正常範囲内に留まり, 非投与例では顕著な増加を呈して, 有意の差を認めた.以上により, SVC症例の脳循環において, トロンビンの活性化と局所的な凝固線溶系の異常が生じており, 病態悪化の一因の可能性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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