脳卒中
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分節性解離性感覚障害を呈した延髄出血の1例
田中 弘道森 望美鍵本 比呂志斎藤 潤
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1997 年 19 巻 2 号 p. 159-164

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抄録

症例は37歳の男性で, 高血圧の既往はない.入浴中に右上肢から胸部の温度感覚が鈍いことに気づき, 嚥下困難感, 嘔気, ふらつきを生じ, 5日後に受診した.構音障害はなく, 咽頭, 舌の運動は正常であった.左上下肢に軽度の運動失調, 右への偏筒傾向, 右C2~Th12領域の温痛覚低下を認めた.発症14日のMRIで, 左延髄外側にT1, T2強調画像で高信号を呈する病巣とT2強調画像でmixed signal intensityを呈する病巣があり, T2強調画像でlow intensity rimを認めた.脳血管撮影では異常を認めず, 末梢血, 凝固線溶系検査に異常はなかった.延髄の外側脊髄視床路には体性局在配列があり, その外側部分, 三叉神経脊髄路と核が障害を免れたため分節性解離性感覚障害を生じたと考えられた.脳出血の危険因子を認めず, cryptic vascular malformationが原因と推定された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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