脳卒中
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内頸動脈系脳梗塞の急性期症状進行例の検討
伊藤 秀樹山谷 和正高羽 通康上山 浩永
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1997 年 19 巻 4 号 p. 294-300

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抄録

内頸動脈系の急性期進行性脳梗塞例の臨床上の特色について検討した.対象は発症後6時間以内に入院し, オザグレルナトリウム投与を施行した内頸動脈系梗塞例300例である.結果 : (1) 進行例は穿通枝型では221例中9例 (4.1%), 皮質枝型では56例中9例 (14.8%), 全MCA型では23例中11例 (47.8%), 計29例 (9.7%) みられ, 全MCA型, 皮質枝型に多い. (2) 進行は発症後5日以内に全例確認できた.進行の持続期間は最長7日である. (3) 進行例は運動障害に半側無視を伴う97例においてのみ29.9%にみられた. (4) 進行の有無と心電図上の異常およびAfの有無との間に有意の関係はみられなかった. (6) 出血性梗塞は14例 (4.6%) でみられたが入院後1週間以内の症状進行に関与していなかった. (2) 進行例で退院時の上肢StageがIII~Iに留まった例は非進行例の38例 (14.0%) に比し23例 (79.3%) で, 明らかに多い (p<0.001).結論 : 入院時に運動障害と半側無視の有無を確認することが最も重要である.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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