脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
脳血管選択性Ca拮抗薬 (Nilvadipine) 投与による慢性期脳梗塞例の精神症候および非特異的自覚症状と局所脳血流量の変化について
SPECT-ARG法による検討
酒寄 修北村 伸三品 雅洋山崎 峰雄赫 彰郎
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 19 巻 5 号 p. 397-405

詳細
抄録

慢性期脳梗塞例18例を対象に, 精神症候および非特異的自覚症状と脳血流量の関係をあきらかにするために, nilvadipine投与前後に123IMP-ARG法SPECTを用いて局所脳血流量 (CBF) を測定し比較検討をおこなった.
投与前高血圧群の局所脳血流量は, nilvadipine投与後に平均約11%の上昇を示したが, 正常血圧群では変化を認めなかった.精神症候の改善率は高血圧群でより高い値を示した.さらに精神症候改善例の局所脳血流量は前頭葉を中心に投与後約14%の有意な上昇を示したが, 精神症候不変例あるいは精神症候なし例の脳血流量にはあきらかな変化を認めなかった.
以上, 脳梗塞患者の精神症候の発現あるいはその改善と, 前頭葉を中心とした全般的脳血流量の変化が密接に関連している可能性が示唆された.またnilvadipineに代表される脳血管選択性Ca拮抗薬の臨床効果は, 高血圧例でより期待出来ることが脳循環の面から裏付けられた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top