1980 年 2 巻 1 号 p. 14-21
昭和44年より3年間にわたり12県で試みられた「脳卒中予防特別対策」は, いまだに十分な評価がなされていない.我々は, 今後の高血圧地域管理の参考とする目的でその効果について評価を試みた.特対地区と同一県内にある非特対地区を郡部, 市部にわけこれらを対照として昭和44年~50年にいたる45~64歳の脳卒中死亡率, 総死亡率の変化を比較検討した.その結果,
1) 総死亡率, 脳卒中死亡率は, 特対地区, のみならず非特対地区においても著しく減少した.この傾向は女子にとくに強かった.
2) 脳卒中死亡率の総死亡率に占める割合は特対地区, 非特対地区を問わず減少した.
3) 特対地区の脳卒中死亡率は, 非特対地区に比して低下する傾向をみた.しかし, 特対地区と非特対地区に共通の減少部分の方が遙かに大きく両地区の差, すなわち特対固有の効果は僅かであった.
わが国で昭和44年以降3年間にわたって12県で実施した特対については, いまだ十分な評価がなされていない.本報告は, その効果についてできるだけ客観的な評価を行ない, 今後の地域高血圧管理の参考とすることを目的とした.効果判定には, 特対を施さなくとも自然に変化する部分を除去しなければならない.特対の正味の効果は特対地区と非特対地区の成績の差にある.そこで我々は, 特対地区と同一県内にある非特対地区を郡部, 市部にわけ, これらを対照として昭和44年~50年にいたる45~64歳の脳卒中死亡率, 総死亡率の変化を検討した。その結果
(1) 総死亡率, 脳卒中死亡率は, 特対地区, 非特対地区ともに著しく減少した.この傾向は女子にとくに強かった.
(2) 脳卒中死亡率の総死亡率に占める割合は特対地区, 非特対地区を問わず減少した.
(3) 特対地区の脳卒中死亡率は, 非特対地区に比して低下する傾向をみた。しかし, 特対地区と非特対地区に共通の減少部分の方が遙かに大きく, 両地区の差, すなわち特対固有の効果は僅かであった.