脳卒中
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脳底部異常血管網, 内頚動脈閉塞を合併した陳旧性全身性血管炎と思われる一剖検例
小林 祥泰田崎 義昭神田 直古賀 平太
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1980 年 2 巻 1 号 p. 42-48

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抄録

症例は36歳の主婦.脳出血にて死亡.剖検にて脳底部に無数の異常血管を認め, 内頚動脈は両側終末部で癩痕化し, 閉塞は起始部に及んでいた.内膜は硝子化を伴なった著明な線維性肥厚を示し, 内弾性板の断裂, 中膜の著明な菲薄化を認めた.アテローム, 炎症細胞は認められなかった.大動脈は特に弓部でアテローム斑が著明であり, 横隔膜穿通部に骨化を認めた.内膜肥厚の強い部位では中膜菲薄化, 外膜線維化, 栄養血管の内膜肥厚が著明であった.同様の変化を弓部分枝, 肺動脈等に認めた.以上の所見から本例の動脈病変は高安病と類似した血管炎と考えられる.しかし, 本例では内頚動脈終末部にも同様の機序によると思われる病変を認めた点で異なる.したがって広汎な全身性動脈炎が小児期に生じた可能性が強く, ウイリス輪閉塞症との関連からも興味深い症例と考えられる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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