脳卒中
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スノーボード外傷後にみられた解離性椎骨動脈瘤によりWallenberg症候群を呈した1例
立川 浩松島 一士三枝 倫子篠原 幸人
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1998 年 20 巻 2 号 p. 272-275

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抄録

39歳男性.スノーボード外傷の約1カ月後に頭痛,嘔気,めまい,嚥下障害および構音障害が出現し,臨床的に左Wallenberg症候群と診断された.頭部MRIでは左延髄背外側と左小脳半球に梗塞巣が描出された.左椎骨動脈造影では,椎骨動脈の頭蓋内入口部から脳底動脈移行部におよぶ動脈閉塞を認め,MRIでは同部位に解離性動脈瘤が確認された.本例はスノーボード外傷による頭頸部の過伸展,回旋が原因で椎骨動脈障害を生じたものと考えられた.近年スノーボードが大流行し,種々のタイプの外傷が報告されているが,外傷性解離性椎骨動脈瘤を生じ,Wallenberg症候群を呈した報告の中でスノーボード外傷に起因した症例は,我々が調べ得た限りでは未だ報告されていない.しかし,今後もスノーボード外傷は増加すると考えられるので,スノーボード外傷性脳血管障害に対する諸家の注意を喚起する目的で報告した.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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