1998 年 20 巻 6 号 p. 669-672
1997年1月から12月までに経験した脳血栓症75例について,臨床病型別および薬剤別に神経症候改善率を比較検討した.その結果,ラクナ梗塞(lacunar infarction:LI)にオザグレルナトリウム,アテローム血栓性脳梗塞(atherothrombotic infarction:ATI)にアルガトロバンを投与していた群では,その反対にLIにアルガトロバン,ATIにオザグレルナトリウムを投与していた群に対して,有意に神経症候改善率が高く(p=0.0048),臨床病型に即した薬剤の選択が重要であると考えられた.また,アルガトロバンをLIとATIに投与した場合には神経症候改善率に有意差はなく,アルガトロバンはLIにも有効であったが,オザグレルナトリウムをLIとATIに投与した場合には神経症候改善率に有意差(p<0.001)が認められ,オザグレルナトリウムはATIに対する有効性に劣るという結果であった.