1998 年 20 巻 6 号 p. 705-708
ミトコンドリアに局在するmanganese-superoxide dismutase(Mn-SOD)の活性が低下した遺伝子欠損マウス(Sod2-/+)と野生株を用いて,局所脳虚血におけるMn-SODの役割を検討した.脳主幹動脈の構築,及び虚血時の残存脳血流率には差異は認めなかった.rhodamine123(Rh123)を用いてミトコンドリア傷害を比較したが,虚血4時間後では有意差を認めなかったものの,24時間後ではSod2-/+で有意に進行していた.また虚血24時間後の梗塞体積,虚血側大脳半球拡大率ともSod2-/+で拡大していた.TUNEL染色を用いてDNA断裂化についても比較したが,有意差は認められなかった.以上より,Mn-SODはミトコンドリアの恒常性を維持しnecrosisによる虚血神経細胞死を抑制することが示唆された.