脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
慢性期脳梗塞患者における嚥下機能評価の試みとその有用性
岩本 俊彦小泉 純子高崎 優
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 22 巻 3 号 p. 403-410

詳細
抄録

水飲み試験の一つである嚥下機能評価法(Smithard)の有用性を明らかにする目的で,本法を用いて脳梗塞患者の嚥下機能と予後との関係を検討した.対象は脳梗塞慢性期の102例(男性61例,女子41例)で,これらを異常所見の有無で陽性群(n=33)と陰性群(n=69)の2群に分類し,予後を2.2年間,追跡した.平均年齢は76.4歳で,罹病期間は陽性群(vs陰性群)が平均7.1年(vs4.4年)と長い傾向を示し,介助例,痴呆例も多かった.陽性群では観察期間中に15例(vs3例)が死亡し,年間死亡率は299%(vs2.2%)と有意に高かった(log-rank検定:x2=28.32,p<0.0001).陽性群の死亡例はいずれも誤嚥性肺炎で,予後に及ぼす嚥下の各評価項目では総合成績がハザード比12.3と最も高かった.以上より,本法は簡便なばかりか,誤嚥性肺炎のリスクの高い患者を同定することも可能で,脳梗塞患者の管理に有用であると考えられた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top