脳卒中
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5.心房細動における無症候性脳梗塞の検討
高嶋 修太郎田口 芳治平井 忠和中川 圭子井上 博
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2000 年 22 巻 4 号 p. 576-580

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抄録

脳卒中の既往のない心房細動患者86例(平均62.4歳)を対象として,頭部MRI,経胸壁心エコー図法,経食道心エコー図法を同時期に施行し,無症候性脳梗塞の有無と心エコー所見および臨床背景との関連を梗塞部位別に検討した.44例(51.2%)に無症候性脳梗塞を認め,皮質梗塞7例(8.1%),穿通枝梗塞8例(9.3%),皮質下白質梗塞43例(50%)であった.皮質梗塞は,左心耳血流速度が有意に遅く,左房内もやもやエコーの程度が強く,心内血栓が確認される傾向を認め,心原性脳梗塞栓と考えられた.穿通枝梗塞は,大動脈内中膜肥厚と大動脈硬化度が有意に高度であり,ラクナ梗塞あるいはアテローム血栓性梗塞と考えられた.一方,皮質下白質梗塞は,有意に高年齢で,大動脈内中膜肥厚と大動脈動脈硬化度が高度であったが,拡張期左心室径が拡大し,左房内もやもやエコーの程度が強い傾向も同時に認められ,臨床病型は多様であると考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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