2001 年 23 巻 3 号 p. 227-233
新たに開発された「脳卒中急性期患者データベース(Japanese Standard Stroke Registry, JSSR)」を用いて全国多施設から収集されたデータから,出血性梗塞(hemorrhagic infarction, HI)の実態,関連因子を検討した.発症3日以内の虚血性脳血管障害1,487例のうち,HIは11%に認め,その51%は心原性脳塞栓症例であった.テント上心原性脳塞栓症におけるHI発現率は28%で,うち軽度67%,中等度23%,血腫形成10%であった.高齢(10歳ごとのオッズ比[OR]1.71,P=0.003),人工弁(OR19.3,P=0.03),入院時NIHSSスコア(OR1.04,P=0.03)が独立した関連因子であった.HIが重度であるほど退院時転帰は不良であった(OR1,92,P=0.02).血栓溶解薬使用例では,HIが僅かに多い傾向であったが,退院時障害は軽度のものが多かった.