脳卒中
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脳梗塞各病型の凝血学的指標
特にアテローム血栓性梗塞の機序と凝血学的指標の関連について
大岩 海陽山本 康正林 正道村西 学
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2002 年 24 巻 3 号 p. 277-282

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抄録

脳梗塞の梗塞機序と凝血学的分子マーカーの関連を検討した.対象は発症後2日以内の内頸動脈系脳梗塞237例で,ラクナ梗塞95例,アテローム血栓性梗塞51例,心原性塞栓91例である.ラクナ梗塞は,梗塞径が15mm未満のsmall lacuna type61例と15mm以上のgiant lacuna type 34例に,アテローム血栓性梗塞は,梗塞機序により動脈原性塞栓15例と動脈原性塞栓以外のアテローム血栓性梗塞36例の2群に分類した.TAT・D-dimerは心原性塞栓,アテローム血栓性梗塞,ラクナ梗塞の順に高値で,心原性塞栓はラクナ梗塞,アテローム血栓性梗塞に比して各々有意に高値であった.ラクナ梗塞のうち,giant Lacuna typeはsmall lacuna typeに比して,TAT, D-dimer, βTG, PF4とも有意に高値であった.アテローム血栓性梗塞のなかで,動脈原性塞栓においてTATは,動脈原性塞栓以外のアテローム血栓性梗塞に比して有意に高値であった.以上より,凝固線溶系活性は,心原性塞栓,アテローム血栓性梗塞,ラクナ梗塞の順に高値である.ラクナ梗塞のうち,giant lacuna typeはsmall lacuna typeに比して凝固線溶系・血小板系活性は高値である.アテローム血栓性梗塞のなかで,動脈原性塞栓は,動脈原性塞栓以外のアテローム血栓性梗塞に比して凝固系活性は高値である.アテローム血栓性梗塞の凝固病態は単一でなく,治療上考慮されるべきである.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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