2003 年 25 巻 2 号 p. 252-258
脳梗塞急性期から亜急性期にかけて血中のvon Willebrand因子(vW因子)活性を測定し,臨床病型による差異,重症度との関係について検討した.さらに,抗血小板薬の影響についても検討した.対象は発症48時間以内に入院した脳梗塞83例で,vW因子活性の測定は入院時および1カ月後に行った.vW因子活性は,対照群と比べ患者群において有意に高値であり,1カ月後には,入院時よりも有意に上昇した.vW因子活性の変動は,臨床病型による違いは明らかでなく,重症度とvW因子活性にも相関を認めなかった.抗血小板薬の有無・種類別の検討では,シロスタゾール投与群でvW因子活性の上昇が抑えられる可能性が示唆された.脳梗塞の急性期から亜急性期にかけてvW因子は上昇するが,病型,重症度による差異は明らかではなかった.シロスタゾールは,この上昇を抑制する可能性があり,その意義について検討していく必要がある.