脳卒中
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急性硬膜下血腫で発症した末梢性前大脳動脈瘤の2例
加藤 恭三稲尾 意秀岡本 剛林 重正内藤 丈裕長坂 暢
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2005 年 27 巻 2 号 p. 322-326

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抄録

くも膜下出血を伴わず,急性硬膜下血腫で発症した末梢性前大脳動脈瘤の2症例を経験した.2症例ともに初期診断時には破裂動脈瘤の診断がつかなかった為,緊急にて減圧開頭硬膜下血腫除去術のみを施行した.1例は術前3DCT angiographyを施行したが,撮像範囲の設定が狭かった為動脈瘤を発見できなかった.2症例ともに術前一時両側の瞳孔が散大したが,1例は意識障害も順調に回復,他の1例も意識障害は遷延化したものの救命することができた.術後血管撮影にて1例はA2~A3部の脳動脈瘤が発見され,後日脳動脈瘤クリッピング術を施行,術後の経過も順調でほぼ全回復の状態で退院した.他の1例はA3末梢部の動脈瘤が発見され,やはり後日開頭術を施行.クリッピングは困難で動脈瘤をトラッピングした.動脈瘤破裂による硬膜下血腫のなかには術前の状態が不良でも救命できる症例があり,積極的に手術に臨むべきと考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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