脳卒中
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偶発的に発見され2年後にくも膜下出血を発症した閉塞性椎骨動脈解離の1例
中村 歩希伊藤 英道桜井 孝池田 律子橋本 卓雄
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2005 年 27 巻 3 号 p. 407-411

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抄録

症例は64歳男性.既往疾患として2年前に心臓のバイパス術を受けた時に,頭部MRAで右椎骨動脈閉塞を指摘されていた.平成16年11月,突然の意識障害・両側外転神経麻痺を呈して当院へ搬送となった.頭部CTにて後頭蓋窩にくも膜下出血を認め入院加療となった.その後の脳血管撮影や頭部MRIより,occlusionを示した右椎骨動脈解離によるくも膜下出血と診断した.そして,既往疾患時に指摘された右椎骨動脈閉塞は,偶発的右椎骨動脈解離の可能性が考えられた.出血発症以外の椎骨動脈解離において血管撮影上膨隆した所見が,その後に残存したり増大するときは出血の危険性を考慮すべきとされてきた.しかし,椎骨動脈閉塞所見においても動脈解離を考慮し,出血を併発するリスクがあることを留意すべきと思われた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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