脳卒中
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脳梗塞急性期における炎症マーカーの測定
予後および経過の指標としての検討
中瀬 泰然佐藤 美佳山崎 貴史小倉 直子鈴木 明文長田 乾
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2006 年 28 巻 3 号 p. 360-366

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抄録

炎症が動脈硬化の発生および進展に強く関連し,脳血管障害においてもその病態に関与していると報告されている.従って,炎症マーカーを解析することは脳梗塞の発生や悪化における病態解明にも重要である.今回われわれは脳梗塞発症時の炎症マーカーを測定し,病型問での差異や予後との関連を検討した.急性期脳梗塞患者連続入院例(n=104)を対象とし,入院時に高感度CRP,TNFα,IL-6,酸化型LDL,血清鉄を測定した.また,病歴および頭部MRI,MRAより心原性脳塞栓,アテローム血栓性脳梗塞ラクナ梗塞動脈解離による脳梗塞に分類した.重症度はNIHSSにて評価した.その結果,全症例で酸化型LDLの増加が認められ,心原性塞栓とアテローム血栓で発症時の高感度CRPがラクナ梗塞に対して高値を示したが有意差はなかった.発症時の重症度と全症例のIL-6,ラクナ梗塞のTNFα高値が正の相関を示した.心原性塞栓の予後不良にはIL-6の高値が関与していた.脳梗塞急性期では炎症マーカーの上昇傾向がみられ,病態の活動性の指標となる可能性が示された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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